EBIの建築探訪-春
淳.EBIの設計室のわななき【2023年06月02日】
6月に入り梅雨が迫っている今日この頃、お気に入りの革靴にカビが生えていたのがいまだにトラウマになっております。
EBIでございます。
靴も設計のセンスも日々磨くことが大切だと常々思います。
さて、前回のブログで地元栃木県の那須町の「石の美術館」の」話をさせていただいたのですが、今回は同じく那須町の「那須歴史探訪館」です。
那須歴史探訪館は名前の通り那須の長い歴史の資料、遺跡の出土品が展示されています。
設計は先日石の美術館でも話題になった隈研吾氏、場所は石の美術館から徒歩数分と、とても近い位置にあります。
建物の外観は既存の土倉を利用し、モダンな印象の中で歴史を感じられる作りになっており、鉄骨柱で支えられたガラスの透明な壁にすることで風景と一体化する透明なミュージアムとなっています。
インテリアや内装材には隈氏が得意とするその地域の特産品の材料を使用するコンセプトになっており、那須地方の材料がふんだんに使われています。
自動ドアや襖には烏山近辺で生産された楮という植物を原料とした烏山和紙を代表する「程村紙」で厚紙の至宝と言われています。さらに室内の床には依然紹介した芦野石を使用、気品のある資料館にピッタリです。
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こちらの写真はエントランスにある椅子とパーテーションです。
椅子の素材は木を細かく繊維状にしたものをセメントで押し固めたもので、座面をさわってみると丁度良いさわり心地、てっきりひんやりしているのかなと思いましたが、木が配合してあることで熱が逃げにくくなっているんですね。受付にあるパーテーションは探訪館の前にある御殿山の藤蔓をあしらい、隈氏の自然の素材を大切にする気持ちが伝わってきます。
特に印象的なのはこのメインの通路、なにやら変わったデザインのパネルが目につきます。
このパネルには隈氏と職人さんのこだわりが詰まっており、「透明な土の壁をつくりたい。」という思いに左官職人で有名な久住章氏がアルミ・エキスパンドメタルの上に藁と糊を混ぜてコテで塗ったものなんです。
更に可動式になっており自由に光の調節を行えます。
完全に光を遮断するのではなく、隙間から透過した光が優しく館内に差し込むのが素敵です。
勿論建物だけではなく展示されている資料や品々はとても興味深い物ばかりです。
古代の時代から最近のものまで、幅広く写真や映像で学べるので、那須町を訪れた際には是非訪れてみてください。
EBIはこれからも県内県外問わず、様々な建築物を見学しに設計に活かしていきたいと思います。
淳.EBIの設計室のわななき【2023年06月02日】