夏の住まい
淳.EBIの設計室のわななき【2023年08月13日】
お盆も近づいてきていますが、皆様はどのように過ごすのかお決まりでしょうか。
EBIも今年の夏の楽しみ方を模索中で、暑さが厳しい中無理せずに楽しめるような計画をしようと思っています。
ここまで暑いと家でゆったりと過ごす時間もいいかもしれないですね。
この夏は女子サッカーワールドカップがオーストラリアとニュージーランドで開催されていますので、優勝を願いながら応援して熱い戦いを見守りたいです。
この浮世絵なんですが、江戸の夏を表しているものらしく蚊帳の中で蚊遣に火をつけ蚊を追い払う様子が描かれています。
今回は、かつての人々の住まいでの暑さ対策について調査してみました。
ちなみに中世の歌人・随筆家の吉田兼好の「徒然草」で住まいについて書かれている所があります。
「家のつくりやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑き頃わろき住居は堪へがたき事なり。…」
といった内容で、これを訳すと
「冬の寒さはどうにかできるけれど、夏の暑さはどうにもできないから夏の対策を主として家を建てなければならない」
ということらしいです。
「打ち水」は皆さんも知ってますよね。
江戸時代にも涼をとる手段として庶民の間でも行われていました。
なぜ涼しくなるかといいますと打ち水をすることで、気化熱によって地面の熱が大気中に逃げて表面温度が下がります。
さらに打ち水を行った場所は気圧が下がることで風が発生するので、建物内部に涼しい風が通る仕組みになります。
体感的にも涼しくなるような感じもしますよね。
大きな開口と障子も、風を通すための工夫です。
先ほど打ち水で内部に風を通すと話ましたが、その風を通りやすくしているのは内部にも工夫があるからなのです。
筋交いがなく柱と梁で建物を支えているので、壁が少なく部屋通しの仕切りに使う障子は開けておけば熱や湿気を逃がしやすくなります。
風通しを変えることで、室内の温度調節が可能になります。
夏の日差しを防ぐため軒や庇が深いというのも特徴です。
太陽の位置が夏になると高くなりますので、日差しを遮ることが可能になります。
また、冬は太陽の位置が低いため温かい日差しが届きますので季節により利点があります。
観光などで、古いお寺などに入ってみると涼しく感じるという経験をされた方は多いのではないでしょうか。
これらの工夫がされていることで、先人たちは厳しい暑さから身を守っていたのですね。
私たちもそういった知恵を知って、生かせるようにしていかなければならないと感じます。
皆様もいつもとは違った夏の過ごし方を体験してみてはいかがでしょうか。
淳.EBIの設計室のわななき【2023年08月13日】