舞踏家Sさんは自己の踊りをちっぽけな存在という、使命の大きさを自らに課す謙虚な人である。
仕事でも芸術でも事の重大さや奥深さを知ってそれに立ち向かおうとする人は成し得ようとする事の大きさからちっぽけに小さく見えるのである。
そして一様に真正面にきちんと向いて正座しているのである。
それは、とむらいで見送られる死人の神々しさに似ている。
上演が終わって少ない会話をした時じっと目を見るとすーと流れでる涙は、Sさんの背負う十字架の大きさを感じるのである。
Sさんはそんな数少ない人に思える。
ここまで書くと自分も自然に涙が出とまらないのである。